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慢性腎臓病

慢性腎臓病(CKD)とは

腎障害や腎機能低下が持続した状態のことです。日本でCKDに罹患している方は1480万人にも及ぶと推定されていることから、新たな国民病として捉えられています。
CKDの方の多くは無症状で、腎機能低下が高度にならないと症状はほとんどありませんが、腎機能低下が高度になると、むくみや息切れを引き起こしたり、血液中のミネラルの数値が異常となったり、貧血を起こしたり、食欲低下・嘔吐を引き起こすようになります。最終的には生存を維持するために透析などの腎代替療法が必要になります。また、CKDでは、心筋梗塞・脳卒中などの心血管疾患のリスクが上昇すると言われています。
早期に発見して適切な治療を続け、腎機能をできるだけ長く維持することが重要です。

CKDの診断基準・重症度分類

GFR≦60 mL/min/1.73m2、もしくは蛋白尿などの腎障害が3ヵ月以上持続することです。
GFRは、血中のクレアチニンを元に算出されるeGFR(推定糸球体濾過量)を参考にします。
eGFRと尿タンパク量を元に、下記の表に従って、重症度分類を行います。例えば、eGFRが50で、尿タンパクが0.30 g/gCreであれば、G3aA2と分類します。

(日本腎臓学会編. エビデンスに基づく
CKD診療ガイドライン2023より引用)

CKDの治療

失われてしまった腎機能を回復させるような治療はなく、腎機能低下の進行を抑制するのが治療の主目的となります。
食事療法、禁煙、代謝疾患の治療に大別されます。

①食事療法

6 g/日未満の塩分制限が重要です。血圧が正常な方の場合も、塩分の過剰な摂取が、心臓や血管に悪影響を与えると言われており、塩分制限は重要です。
CKDの重症度分類でG3a~5の方は、タンパク制限が推奨されます。推奨されるタンパク質の摂取量は、目標体重を身長(m)×身長(m)×22 kgとしたときに、G3aの方であれば、目標体重×0.8~1.0 g/日、G3b~5の方であれば、目標体重×0.6~0.8 g/日です。しかし高齢の方では、厳格なタンパク制限が、筋力低下や骨量低下・活動量低下につながる可能性があることから、タンパク制限を緩和することがあります。
他、CKDの重症度分類でG3b~5の方は、カリウム制限が推奨されます。推奨されるカリウムの摂取量は、G3bの方であれば、2000 mg/日以下、G4~G5の方であれば、1500 mg/日以下です。カリウム制限が不十分だと、高カリウム血症となり、致死的不整脈を引き起こすことがあり、注意が必要です。

②禁煙

喫煙はCKDの発症・悪化のリスクとなります。また、CKDは心血管疾患のハイリスクであり、喫煙はそれを増長させます。禁煙が重要です。

③代謝疾患の治療

高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満症は、CKDの発症・進行のリスクとなるので、それぞれに対する治療を行います。家庭血圧 125/75 mmHg以下、HbA1c 7.0%以下、LDLコレステロール 120 mg/dL以下、BMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)) 22~25を目指します。
特に高血圧については、ACE阻害薬もしくはARB阻害薬の使用に加え、腎保護効果の高いミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の使用を検討します。
また、糖尿病があってもなくても、SGLT2阻害薬には腎保護効果があるため、その使用を検討します。

腎機能低下が進行して、貧血が進行したり、ミネラルの異常を来したり、むくみがひどい場合は、それぞれに対する薬物療法も行います。

おわりに

慢性腎臓病は早期発見・早期治療が必要です。健康診断などで、腎機能が低下していると言われたら、是非当クリニックを受診してください。